健康な人の便に含まれている腸内細菌を、薬で治療不可能な大腸性疾患患者の腸内に投与することで治療する「便移植(便細菌叢移植)」の臨床研究が2014年から開始され、現在5か所の病院で実施されています。
便移植とは、腸内細菌のバランスを整えて、腸の状態を整える治療であり、治療時間1時間以内の日帰り治療です。
保険適用にはなっていませんが、治療効果が高いことが報告されています。
欧米諸国ではすでに通常医療として実施されており、医療都市であるアメリカ・ボストンでは、2012年に世界初の便に関する施設として「便バンク(優秀な便の持ち主の便を集めて冷凍保存する)」が設立され、500以上の病院で便移植に活用されています。
また、必要と思われる微生物を腸内細菌からピックアップしてカプセルに入れて、薬として使用する研究も始まっています。
腸内フローラの研究は、医療を大きく変えようとしています。
この腸内フローラが、肥満、2型糖尿病、アレルギー疾患などとも関係しているといわれているため、将来的に便移植がさまざまな病気の治療につながる日がくるかもしれません。
今後の研究にますます目が離せませんね。